HIMMEL: HI Mapping with Multiple Emission Lines
広視野カメラに搭載した狭帯域フィルターのペアを使って、遠方星形成銀河からの水素の再結合線であるLyα輝線とHα輝線の両方捉える。もし銀河の直近に中性水素ガス(HI)が豊富にあるならば、共鳴線であるLyα輝線は散乱吸収されてすり抜けてこれないのに対し、非共鳴線であるHα輝線はすり抜けてこられる。したがって両者の個数比または輝線強度比を調べることにより、HIガスの存在が分かる。これを広い視野で大規模構造に沿って調べることによって、その構造に沿って中性水素ガスがどのように分布しているかを知ることができる。中性水素ガスは星形成の元になるいわば燃料であるため、それが大規模構造に沿ってどのように分布しているかを知ることは、星形成活動がどこでどのように起こるかを知る手掛かりとなる。
COSMOS領域のz=2.23にある原始銀河団とその周辺領域。赤丸がHα輝線銀河、青十字がLyα輝線銀河を示す。コントアは銀河の密度を表しており、原始銀河団のコア、その周りに繋がるフィラメント構造、銀河群が見られる。密度の高い領域ほどHα輝線銀河が主体でLyα輝線銀河はほとんど見られなくなることがわかる。これは高密度領域に中性水素ガスがより多く集まっており、Lyα輝線を散乱旧守しているためと考えられる。